FEP(フェップ)をご存知でしょうか?正式にはフロント・エンド・プロセッサといいます。
サーバ構築の際に、主にサーバPCの負荷を軽減する目的で設置する、サーバの前処理をするための機器やソフトのことを指します。
今回の記事では、FEPについて概要について、紹介いたします。また、その重要性を示すトラブル事例についても紹介します。
▶目次
1、FEP(フェップ)とは
FEPについて解説いたします。
FEPの概要
FEPはフロント・エンド・プロセッサの略称です。
主のサーバの負荷を軽減するために、メインプロセッサーの一つ手前にあえて機器やソフトを割り込ませて、前処理を行う機器やソフトのことを指します。FEPのおかげで、メインプロセッサーの負荷を軽減することが可能です。
メインプロセッサーとは、ネットワークの主な処理演算を行うCPUのことです。
元々は、スーパーコンピュータなど大型コンピュータのネットワークに使用されていました。
FEPの用途
FEPは現在、重要性が高く、大容量の演算を必要とするシステム内のネットワークの重要ポイントとして使用されているケースが多くみられます。
例えば、クレジットカードの処理システムや、電力会社の電力供給量の計算などです。これらは、処理の即時性と安定性が非常に高いレベルで求められており、扱うデータ量も膨大なものとなっています。こうした場面では、複数台のFEPを利用し、処理を分散させています。
2、NTTデータの障害事例
FEPの重要性を裏付ける事例として、2015年のNTTデータの障害事例を紹介します。
FEPサーバがダウンしてしまった影響で、同社がサービス提供しているクレジットカードの与信照会が1時間半にわたり決済不能になってしまいました。
事例の概要
クレジットカードやデビットカードの決済サービスを提供しているNTTデータの「CAFIS」システムが、1時間半にわたってシステム障害に陥りました。その原因はCAFISシステムにおいて処理を振り分けるFEPサーバがダウンしてしまったため、ということです。
事例が発生した当時、FEPのハードウェアが不安定な状態に陥ってしまい、不安定な動きを制御するためのミドルウェアでも制御がしきれずに結果的にダウンしてしまいました。サーバを切り替えることで、なんとか1時間30分かけて復旧作業を行ったということでした。
ダウンしてしまったのは複数台あるFEPの1台のみで、NTTデータはFEPが不安定に陥った理由やミドルウェアで制御がしきれなかった理由については、公表していません。
CAFISについて
CAFISはクレジットカードやデビットカードの決済サービスとして最も利用されているサービスです。国内のほぼすべてのクレジットカード会社が決済サービスとして利用しており、当時の決済件数は一日あたり1,000万件を超していたとのことです。
3、まとめ
この記事では、サーバ構築のFEP(フェップ/フロント・エンド・プロセッサ)についての概要と、トラブル事例を紹介しています。
FEPは、メインのプロセッサー(CPU)の前に割り込ませて、演算や処理をさせるための機器やソフトのことを言います。メインの機器の前に割り込ませて処理をさせることで、メインの機器の負荷を大幅に軽減させることができます。また、情報量が膨大で、即時性が求められる企業・サービスでは、複数のFEPに処理をさせることによってサーバの機能を保っている場合もあります。NTTデータの事例では、FEPのダウンによってシステムがダウンしてしまいました。