VPNサーバの構築は、なじみのない方にとってはイメージが難しいものと思います。
VPNサーバは、外出先から社内のインターネットへアクセスしたり、データを安全に相手に送信したりする際に非常に役に立つサーバです。VPNサーバを使用すれば、これらの不可欠な機能を、比較的低コストで実施できます。
この記事では、VPNサーバの概要と構築のメリットについて解説します。
▶目次
1、VPNサーバとは
VPNサーバの概要について解説します。
VPNサーバの概要
VPNサーバはVirchal Private Network(バーチャルプライベートネットワーク=仮想のLAN)の略称です。
離れた拠点間でインターネット回線を使用してデータを安全に送受信する際に専用回線を引く場合がありますが、専用回線を引くには莫大なコストがかかります。VPNは「仮想の」ネットワークで、LANとLANを接続できるようにする仕組みのことです。
例えば、本社と地方の支社や、自社と頻繁にやり取りする取引先をVPNサーバの構築により、ネットワークを結ぶことができます。
インターネットVPNとIPVPN
VPNには大きく分けて2種類あります。それぞれ、以下の特徴があります。
- インターネットVPN
- IP-VPN
一般のインターネット網を利用したVPNです。セキュリティは劣りますが、安く設置することができます。セキュリティを保護するために、トンネリング化、暗号化の技術が使用されます。また、回線混雑時に通信速度が遅くなってしまう、というデメリットもあります。
クローズドVPNとも言われます。MPLSという技術を用いて、暗号化に頼らずに安定したデータの送受信を行います。必要な条件としては、両拠点で同じインターネットサービスに契約する必要があります。インターネット回線が混雑していても、大きな影響を受けません。
IP-VPNはコストが割高になるので、両者のサービスを用途に応じて使い分けることが重要です。
VPNサーバの構築方法
VPNサーバを構築するには、VPNサーバ機能付きのルータを設置が必要です。
最新のルータではほとんどの機種がVPNサーバ機能を搭載しており、初期費用2、3万円程度でVPNサーバを構築できます。この場合、ランニングコストが不要というメリットもあります。構築のための設定を行わなければならないので、多少の手間が生じます。
2、VPNサーバ構築のメリット
VPNサーバ構築のメリットについて解説します。
通信のセキュリティが高まる
インターネット上でデータのやり取りを行う場合には、データ送受信の即時性というメリットはありますが、反面、第三者によって不正にデータを閲覧されてしまったり、改ざんされてしまったりするリスクが生じます。
VPNサーバを利用すれば、データの暗号化(インターネットVPNの場合)や閉鎖空間でのデータの送受信(IP-VPNの場合)によって、これらのリスクを軽減させることができます。
コストを削減できる
通信のセキュリティを確保するために、従来は通信回線を引く手法が一般的でした。
しかし、専用回線を引くには多額のコストがかかり、また、拠点間の距離が長くなればなるほど、コストは高額化します。
VPNサーバを構築すれば、コストを抑えて通信の安全性が確保できます。また、拠点間の距離によってコストが左右されることもありません。
専用回線と同レベルのセキュリティを保てるIP-VPNの方が、インターネットVPNよりもややコストが高くなりますが、いずれにしても専用回線と比較して大幅なコストダウンが可能です。
スマホからアクセスできる
リモートアクセスVPN(会社と個人のデバイスをVPN接続する機能を持ったソフトウェア)を利用すれば、出先やスタッフの自宅のPCやスマートフォンから社内のデータにアクセスし、情報を取得したり、送信したりすることができます。この機能を使用すれば、テレワークや在宅勤務のスタッフに対しても、安全に情報のやり取りを行うことができます。
社内のデータベースへのアクセスが容易なことの裏返しとして、悪用すればスタッフ自宅からデータの閲覧や改ざんが可能になってしまうので、セキュリティ面での設定やルール作りが必要になります。
3、まとめ
この記事は、貴重なビジネスのデータを安全かつ低コストでやり取りするために便利なVPNサーバの構築について解説しています。
VPNサーバを構築すれば、拠点間や取引先との間で独自回線を引かなくても安全な通信網を引くことができます。VPNサーバにはインターネットVPNとIP-VPNの2種類があります。インターネットVPNの場合は、情報の暗号化などによって情報を守りますが、よりセキュリティレベルが高いのは閉鎖網を使用するIP-VPNです。IP-VPNの設置には、両拠点で同じインターネットサービスに加入することが条件となります。
他に、外出先やスタッフ自宅からでもPCやモバイルで自社データにアクセスできるというメリットもあります。